Violin演奏 独学のすすめブログ

「Violin演奏 独学のすすめ」の著書の内容に関係する追加など

目指にすべき地点

 演奏のレベルを示す目標として、若い人の中には、聞き手を感動させること、とする人もいます。しかし、感動するかどうかは人によって全く異なります。名演奏とは言えなくても、その曲に思い入れがあって涙を流す人もいるし、多くの人の心を動かすような素晴らしい演奏であっても、時々見せるこういう仕草が面白かったなどの、演奏とは直接関係のない印象を述べる人もいるでしょう。感動させるという目標を設定する場合はこういうことを知っている必要があると思います。また、感動したかどうかは聞かないとわからないというのも問題です。

 カレー専門チェーンのCoCo壱番屋の人が方針として、素晴らしいカレーではなく、そこそこのカレーを目標にして作っているというような話をしていました。その理由は、大満足をするというカレーでは次に来る時まで時間を置かれてしまうから、そうではなくて毎日でも来て食べてもらえるようにしている、というのでした。それはなるほどとは思っても案外難しいぞ、と思いましたた。ちなみに私は今日のようなカレー人気はない昔に、よくあちこちのカレーを食べていましたが、CoCo壱番屋のカレーは食べたことがありません。

 演奏の評価として、感動させることというのはなかなか難しいものがありますが、音楽でもCoCo壱番屋のように、毎日でも聞きたくなる演奏というのを目指してもいいのではないかと思います。聞くたびに感動する演奏というのは誰にでもできることではないですが、また明日も聴きたいと思うような演奏なら、努力すればできそうに思えるのではないでしょうか。もちろん、そうは言ってもプロでも厳しいくらい難しい目標だと思いますが、この目標はやはりカレー同様、音楽においてもかなり違った面を持っています。それは、例えば、木造のアパートで弾いたら、隣人はうるさくて迷惑すると普通は考えます。しかし、おや、どこからかバイオリンの音が聞こえてくる、と耳をすます場合もあり得ます。演奏の一つの説明としては、うるささというものが一切ない、そういう演奏になるでしょう。さらに、毎日聞くので、その演奏は常に新鮮なものでなければならないでしょう。

 もう二度と聞けないのではないかというくらい素晴らしいコンチェルトを弾いた演奏家が、アンコールで弾いた小品がやはり素晴らしいもの、というのは普通です。こういうアンコールの演奏は毎日聴いてもいい演奏なのではないでしょうか。実は感動させる演奏と、毎日聴いてもいい演奏にはあまり違いはないのです。ですから、感動させるという目標もいいですが、毎日聴いてもらえる演奏というのを目指してもいいのではないかと思います。うるささが一切なく、耳を傾けてしまう、そして常に新鮮さがある演奏です。もちろん、ここには音楽がきちんとある、それは当然です。

 

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