Violin演奏 独学のすすめブログ

「Violin演奏 独学のすすめ」の著書の内容に関係する追加など

ネオン街のような演奏は避けよう

ズーカーマンのレッスンをyoutubeで一部見ることができますが、あるレッスンでは、音が大きいことがいいことではない、というようなことを言っていました。大きさは五段階あり、pp、p、mf、f、ffということも言っていたように覚えています。多くのバイオリニストは大ホールで隅まで届くような音を出したい、ピアノや他の楽器に埋もれないような音量で弾きたいと思っているのではないかと思います。個人的には、私自身は音量が大きい方ではなく、もっと大きな音でとよく言われるのですが、バイオリンは楽器としては音量が小さい方ですので、可能な限り、ピアニストだけでなく共演者の方々には音量を抑えてもらっています。

多くの場合、音量だけではなく、音がうるさすぎるという傾向があります。いくら大きな音量で弾いてもうるさくない音は、pで弾いてもそれなりに聞こえる音量を出すことが可能です。そうではなく、とにかく音が大きくうるさい演奏では、pでもかなり大きく聞こえてしまうもので、どんどん抑えていくとppなどでは聞こえないくらいになってしまうかもしれません。

多くの人が、大きな音でないと聴衆の耳には届かない、そうなると音だけでなく音楽も届かなくなる、と考えているのではないでしょうか。実は逆です。つまり、音が小さい方が聴衆は耳をよくすまします。感度が良くなるのです。そうなると、よく言われるように、ppの時の演奏はとても難しいのです。

私は音量を大きくしようとしていないわけではないのです。もし、大きくしてしまうともっと他の人が大きくするのでは、という心配もあり、先ずは抑えてもらう方がいいと思っています。さらに、必要以上に大きく音を出さないようにしているのには、もう一つ大きな、大事な理由があります。

音量重視の演奏は、演奏全体にその考えが行き渡り、例えるならばいわばネオン街のような光がチカチカとあちこちで輝いている演奏になっているのです。一見華やかに見えますが、人はほとんどその光をじっくり見ることはしません。反対に、街灯のない、民家も近くにない田舎で見る満月はどうでしょうか。非常に明るく見えます。これは実は周りが暗いからなのです。もし、これと同じように演奏することができれば、それは同じように美しい演奏になるでしょう。必要なのはネオンではなく、反対の暗さです。それが月の光を際立たせます。演奏にも同様に静けさが必要です。無音だけが静けさを示す訳ではありません。満月があっても明るさと同意に暗さがあるように、音が鳴っていてもそこには静けさを感じるようにすることができます。

演奏で本質的に必要なものの一つは、この静けさです。

 

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